johnsan.com

あじくりげ7・8月号『ドヨウ日にウシを食べに行くって!?』


ジョン ギャスライトのカルチャー食(ショック)!#5
『ドヨウ日にウシを食べに行くって!?』

アスファルトから立ち上る陽炎。日本の夏は暑くてジメジメ。。。カナダ人の僕は何回迎えてもこの夏の暑さには耐えられません。
ある暑い夏のこと。「ジョン!そろそろドヨウのウシの日が近いぞ!美味しい店があるから今度ごちそうしてやるよ!」ワォ!日本の暑い季節は土曜日にウシ(ビーフを食べに行くんだ。。)と納得した僕はその週の週末を楽しみにしていました。
週末の予定をあけて待っていた僕は友だちから連絡がこないからおかしいなと思い電話をすると「まだドヨウのウシの日には早いよ!」
えっ!?でも日本の高いビーフはなかなか食べられないから友だちのおごりで美味しいものが食べれるんだったら次の土曜日まで待つのは平気です。そうして迎えた約束のドヨウのウシの日。「ジョンは何が好きかな?カバ焼、白焼き、長焼き、ひつまぶし?」僕はびっくりです。「カバは食べちゃいけないでしょ、もちろん!国際問題になるよ」と友人の品格を疑いました。「ジョン、カバを焼くんじゃなくってウナギを串刺しして焼いてこんがりしたところに秘伝のたれをつけて焼くのが蒲焼だよ。ハハハ!カバを食べると思っていたんだ!!」まだウナギというものを見たことも食べたことのない僕は、カバにしろウナギにしろ分からない事ばかりでとにかくビーフではないんだと思いながら友だちと一緒にその店に行きました。入口からモクモク煙が出ていて醤油と油の焦げた匂いがしてきました。暖簾をくぐって中に入っていくとたくさんの人が所狭しと座っておいしそうに食べています。僕たちも早速注文して出てくるのを待っていました。
「はぁ~い、しっかり食べて元気づけてね」とおばちゃんがおいた器の中には細長いお魚が敷き詰められていました。一口目「僕が生まれて初めて食べた魚の中で一番おいしい!」というと「まあ、魚と言えば魚か、とりあえず熱いうちに食べよう!」そして僕はウナギはもとよりご飯にしみた醤油のたれが美味しいのに感激して大ファンになりました。日本人はこれを夏の暑い日にバテないように食べるのが“土用の丑の日”の習慣というのもなんとなくわかりお腹も満足して店を出ようとした時、友だちが「ジョン、あれがウナギだよ」とおじさんがまな板の上でさばいている魚を見てびっくり!ウォータースネーク!水蛇だぁ!!と一瞬真っ青になりました。まな板の上であのヌルヌル水蛇の頭におじさんの一刀グサッ!が突き刺さりあっという間に切り開かれる姿をみて、先に食べてしまって良かった、、、と思いました。それにしても一度食べたらあの香ばしい匂いが恋しくなって夏でも冬でもウナギは僕の大好物になりました。