あじくりげ 9月号『食べ放題の落とし穴』
ジョン ギャスライトのカルチャー食(ショック)#7
『食べ放題の落とし穴』
あ~、食べ過ぎた。あと半年は絶対、肉は食べないぞ、絶対明日からベジタリアンになろう!でもまあ、元はとれたからいいか、でも明日からエクササイズとダイエットをどうするか、と後悔したり計算したりいろいろ考えながら店を出てくる焼き肉屋さん。食べ放題の後はいつもこんな感じだ。一週間もするとすっかり忘れて普通に肉を食べている僕。あれは何なんだろう?時々、高校生の息子やその友達を連れていった時、普通のレストランではあまり高いメニューを頼んじゃダメと言っているのに、食べ放題だとご飯ものを頼む息子達に高い肉を勧めている自分がいたりして、子育て方針が矛盾する食べ放題。
ちょっと前、仕事の打ち合わせでホテルのカフェに行ったらデザートバイキングをやっていた。黒い礼服のウエイターが「普通のカフェ利用でしょうか?ケーキバイキングをご利用でしょうか?」なるほど、一杯のコーヒーも高いホテルだったし、デザートバイキングの値段を見るとそんなに高くないし色とりどりに並ぶデザートの美的センスに魅せられて「じゃ、そっちのデザートバイキングでお願いします!」と言ってしまった。スーツ姿の僕達は席に着いた瞬間、大きな間違いだったと後悔。一皿目は勇気を出して女性陣の中に行って取ってきたがそれ以上は行けなかった。というか外国人男性はやっぱり甘いものがお好きなのね!という目で次は何を取るのかと周りの奥さま達の視線で胸がいっぱいになり、もう食べられない。ホテルのウエイターさんも忙しそうに空っぽになった皿を次々に取り替えていた。ウーマンパワーはすごかった!上品な女性たちが嬉しそうにお皿いっぱいにケーキを盛りつけ何度も席を立っていったり来たり。あんなに痩せているのにどこに入っていくのかという若い女性から、それ以上食べたらダメだってという昔若かった女性まで見事な光景だった。しかも奥さま方の会話は美白・美顔やダイエットの話だった。
食べ放題やバイキングは日本に限らずカナダやアメリカにも“サンデーブランチ”一人○ドル!キッズ無料!というのもよくある。
日本と違うのは、そもそもそこに来る人のサイズ。ビッグで太め。レストランも質より量で勝負!というメニューを考えているのだ。日本人の大食いタレントなみの一般人がアメリカやカナダは本当に多いのでレストランもよく考えてビジネスしているんだろうな。
食べ放題の落とし穴はガツガツ食べて得した気分にさせてくれるけれど、お料理の素材やシェフのこだわり堪能して食べることを忘れてしまっていることが多いのだ。これを忘れずに臨むときっと後悔なしの満足感が得られると思うのだ。また目新しい食べ放題探して行ってみよう!